STORY on bonobo

母性と女性、どちらの生き方を優先する?

2016.12.04 | 人間ドラマ

著者:こにまゆた

content-pc-trailer-xlarge-000004150

『あなたを抱きしめる日まで』

「事実は小説より奇なり」というが、実話をもとに映画化された作品に面白いものが多い。この映画もウソのような本当の話。

厳格なカトリック思想が残るアイルランドでは、10代で未婚の母になったり、レイプされた女の子たちが精神修養とは名ばかりの修道院に預けられていたようだ。この映画の主人公フェノミナも不遇の子を修道院で出産するが、子供は養子に出されてしまう。ここに描かれている修道院側の差別的な対応がもし本当であれば、負の遺産として批判的映画ととらえられがちだが、この映画のドラマチックな展開はここからだ。
50年もの月日が経ち、自分の娘に別れた子供の存在を明らかにしたことから、元ジャーナリストの男性を紹介され、一緒に息子を探す旅へと立つ!

年老いたフェノミナを演じているのは、言わずと知れた大女優ジュディ・デンチ。昨今では『マリーゴールドホテルで会いましょう』などで等身大の高齢者をユーモアたっぷりに演じているが、この映画では結末を予感させつつも、スリル満点な演出に彼女の本領が発揮されている。共に旅したジャーナリストが執筆した本もベストセラーになったそうだが、原作本をも読んでみたい気にさせる感動的な作品。

 

『パリ3区の遺産相続人』

この映画のキーとなっているフランスに200年以上存在する “ヴィアジェ”という 不動産売買制度がユニーク。売主は年齢に応じた一時金を受け取った後も、死ぬまで買主にローン代わりの家賃を払ってもらえるというものだそうだが、当然、売主が早く亡くなればお得物件だが、何十年も生きられたら高額物件となってしまう。

パリの一等地に素敵な家を所有する老婦人が、この制度を利用してとある男性と契約を交わし、その男性の息子が遺産相続人としてこの邸宅を訪問するところから物語が始まる。原題のマイ・オールド・レディの方が映画にフィットしていると思うが、この家主と父親の関係が解き明かされるまでの息子(相続人)と婦人の娘の苦悩が交錯し、舞台を見ているような臨場感が漂う。老婦人役のマギー・スミスも善良ながら毒のある母親を喜々として演じていて面白い。確か彼女も『マリーゴールドホテルで会いましょう』でも好演しているが、最近の高齢な英国女優は円熟(・・)を楽しんでいるかのようで頼もしい。


「あなたを抱きしめる日まで」

content-pc-main-large-000004150


「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」

content-pc-main-large-000009516


『あなたを抱きしめる日まで』(C)2013 PHILOMENA LEE LIMITED, PATHÉ PRODUCTIONS LIMITED, BRITISH FILM INSTITUTE AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED
『マリーゴールドホテルで会いましょう』(C)2012 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.


最新一覧
月別一覧
カテゴリ