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人生は喜劇 笑いよ今夜も有難う

2016.10.28 | 気楽にエンタメ

著者:電気ヒツジ

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大学時代、映画理論のゼミに所属していました。周りの学生はゴダールやエイゼンシュテインといった小難しい映画を観ていたのですが、私が好きなのは『俺たちダンクシューター』のような下らないコメディ映画。そんなわけでゼミで議論されている内容が全くわからず、なんで私ここにいるんだろう…と遠い目をしながら、アンドレ・バザンの論文などを読む日々でした。

一般的にはコメディはヒューマンドラマよりも評価が低く、賞レースに挙がるのも稀。しかし、映画理論をかじった身から言わせていただくと、実はもっとも難しいジャンルだと思います。シリアスな脚本は意外と書けるものなんですが、人を笑わせるセリフや間というのは本当に難しい。主人公の愛する人が死ねば、観客はたいてい泣きます。しかしコメディにはそんな王道パターンはないし、パターンを踏襲すれば「パクリ」ということになって白けてしまう。常に時代にそった新しいネタを作らなければいけない。作り手の力量がものを言うのです。

そして、コメディはどんな薬よりも人を元気にする効果がある。私の大好きな『ハンナとその姉妹』には、こんなシーンがあります。ウディ・アレン演じるミッキーは人生の意味を思い悩み、自殺することを考えながら映画館に入ります。上映されていたのは往年の喜劇映画『我輩はカモである』。マルクス兄弟の笑いを観ているだけで、ミッキーは自殺するのがバカバカしくなり、いつか死ぬのならば思う存分その間を楽しめばいいと思うようになるのでした。

大規模災害が起こると「笑いなんて不謹慎だ」という論調が起こり、お笑い番組が放送延期になることがあります。しかし、人が元気を失っているときにこそ笑いが必要。

喜劇の王様、チャップリンはこんなことを言っています。
「人生はクローズアップで見れば悲劇。ロングショットで見れば喜劇」

近視眼的には自分が悲劇の主人公に見えるときも、俯瞰で見れば大したことがないと思えてくるから不思議なものです。コメディ映画で大笑いしたあとには、「人生捨てたもんじゃない」と思えてくるはず。

ロングショットの喜劇といえば、ジャック・タチの『プレイタイム』はぜひ観ていただきたい傑作です。現在のお金に換算すると1000億円以上と言われる巨額の製作費を費やし、タチはこの映画の興行的な失敗で破産に追い込まれてしまいました。しかし、タチが遺した笑いは40年以上経ったいまでも私たちを幸せにしてくれています。いやあ、コメディ映画って本当にいいもんですね。


「俺たちダンクシューター」

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