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甲子園がまともに見れません!

2016.08.15 | 人間ドラマ

著者:ぞうがめ

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高校野球をテレビで見ると、無性にチャンネルを変えたくなる。
昨年は大丈夫だったのに、今年はまたダメになった。

高校三年の夏、
緑色の人工芝と、赤茶色の土が鮮やかなグラウンド。
センターポジションから見上げた、眩しすぎる青空が目の裏に焼きついている。
灼熱の暑さは、なぜだか体のどこにも残っている気配がない。
あれは、どこの野球場だったっけ。

テレビに高校野球がぱっと映ると、
俺、マジでぜんぜん打てなかったなー。
そんなことを思い出しては、リモコンを探しだす。

どうかしてるぜ、って、いうより、
どうにかしたかったぜ…まったくもう。
なんて、頭が勝手に切り替わっちゃうんだから仕方がない。

心理学では“トラウマ“のことを、
脳みそが現在進行形の出来事として錯覚している状態、
なんていう言い方もするわけで、まさに20年近く、
あの夏を行ったり来たりのシーソー状態。

ちなみに、そんな苦い思い出とうまく付き合うには、
当時を客観視するってのが、手っ取り早くていい方法らしい。

なるほど。昔から、熱心に子供に野球を教える父親や、
熱血指導者が生まれる理由は、そこにあるのかもしれない。

きっと、子供たちを相手に、みんな、錯覚を振り払おうとしてんだな。
目の前の子を当時の自分と重ねながら、客観視しながら、鞘に収めようとしている。
ちゃんと“客観視”できないオヤジも中にはいるように思えるけどね。

野球を始めたのは四半世紀前になるが、
ああはなるまいぞ、そう思っていた野球馬鹿なオヤジたちが、
あの頃、周りにはウヨウヨしていたっけ。
今はもう、そちら側のほうが心地がよい。

今年、網戸にカマキリが出始めた頃、
息子の頭をバリカンで6ミリにした。
生まれて初めての坊主頭に、笑い合う息子と嫁さん。
「夏だしね。男の子は1回くらいやらないと」

2人には言わなかった。
30年前から現役だったこのバリカンのことを、
それを握るおっさんが、
そろそろ客観視してみようと思っていることを。

甲子園は、まだテレビで見ることができない日が続く。
でもそれでいい。いつか、観客席から見てやろうと思っている。

息子よスマン。先に謝っておく。

こうして、野球のDNAは、ひたすらに紡がれていくのでした。

おしまい。


「映画「ROOKIES-卒業-」」

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「映画「ROOKIES-卒業-」」(C)STUDIO HITMAN/映画「ROOKIES」製作委員会


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