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特別なんて求めなくていい。「普通に生きる」だけでも、特別なあなたになれるよ。

2016.10.01 | 人間ドラマ

著者:大西桃子

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リップ・ヴァン・ウィンクル。アメリカではこの言葉を「時代遅れな人」という意味で使う人もいるというが、黒木華という女優のイメージって、まさにリップ・ヴァン・ウィンクルかも、いい意味で。

すごく華やかな顔立ちをしているわけでもない、ファッションリーダーという感じでもない、どこか昭和の匂いがする女優さん。「普通」だけど、なぜか「存在感が強い」女優さん。

黒木華という女優は、私たち世代の「普通で地味だけど、一生懸命生きている」女性の心に、力を与えてくれるのではないかなと、最近思う。

派手な生活や人生を望まず、ごくごく普通の、マジメ女子。私の周りの、そんなタイプの女性にウケていた映画が、『舟を編む』『繕い裁つ人』だったと思う。出版社の中でも「地味」とされる辞書編集者たちの地道なお仕事ストーリー、祖母から継いだ小さな洋裁店を受け継いだ女性の淡い恋愛ストーリー。どちらもパッと華やかな話ではないけれど、ひとつ打ち込むものを見つけた人の強さをひしひしと感じるような映画だ。

そこにいずれも出ていたのが、黒木華。主演ではなかったけれど、どこにいても存在感のある、強さを感じる女優だった。

そんな黒木華が主演を務めるのが映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』。岩井俊二監督が、彼女を想定しながら書いたというその作品が公開される前から、BSで放送スタートした全6話のserial editionを見始めたのだけど、第1話に出てくる主人公の七海ちゃん(黒木華)は、本当に「時代遅れな感性の女の子」という印象。アダルトな話題に、刺激が強すぎて気分が悪くなってしまったり、なんて、本当に昭和の女子中学生みたいな感じ。華やかさのない、地味で普通で奥手な女の子がそこにいた。

でも、ここから巻き込まれていくんですねー、クソみたいな男と結婚してしまい、その母親からもヒドイ目に遭い。普通に、マジメに、生きていただけなのに……。

普通にただ目の前のことに一生懸命に生きていても、そんな悲劇はどこにでもあって、いったん巻き込まれたら、その「事件」の中で人は誰でも「特別な存在」になっていくのだと思う。「事件」の中で揉まれながら成長して、誰かにとって「特別な誰か」に育っていくんだと思う。そんなお話が、『リップヴァンウィンクルの花嫁』。

だから、「私なんて美人じゃないし」「目立たないし」「つまらない人生だな」なんて思っていてもしょうがない。めまぐるしく物事が変わっていく現代の中で、時代遅れな生き方をしていても、いい。普通にマジメにコツコツと生きていたって、人生にはきっと何かが起こって、私たちは何かが少しずつ変わっていく。その中で、特別な誰かになっていく。

黒木華という女優は、そういう「普通の人が持つ、または身につけていく、特別感」を表現できる女優なんだなぁ。


「リップヴァンウィンクルの花嫁」

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「舟を編む」

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「繕い裁つ人」

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「リップヴァンウィンクルの花嫁」(C)RVWフィルムパートナーズ
「舟を編む」(C) 2013「舟を編む」製作委員会
「繕い裁つ人」(C)2015池辺葵/講談社・「繕い裁つ人」製作委員会


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