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なぜピクサーは快進撃を続け、ジブリは撤退したのか? ピクサーに学ぶ組織作り

2016.07.11 | ビジネスを知る

著者:電気ヒツジ

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先日「ピクサー展」を見るために東京都現代美術館に行ってきたのですが、会場の外まで続く2時間待ちの大行列を目にしてすっかり心がくじけ、スゴスゴ帰ってまいりました。なんでそんなに人気なのかなーと並んでいた人たちをチェックしてみると、子供連れのファミリーから、キャラクター好きの若い女の子たち、アートに興味ありそうな中高年カップルまで、年齢層がめちゃくちゃ幅広いです。どの年代にも愛されてるんですね。

興行面はもちろん、ピクサーは観客・批評家双方から支持されるクオリティーの高い作品を送り出してきました。2006年からはディズニー・アニメーション・スタジオ傘下に入り、ジョン・ラセターらピクサー出身クリエイターが指揮した『アナと雪の女王』『ベイマックス』『ズートピア』が大ヒット。長年低迷していたディズニー復活の原動力となっています。

ピクサー映画の人気の理由は、魅力的なキャラクターと誰しもを虜にするストーリー。世界最先端のCGアニメーションスタジオでありながら、クラシック映画のようなストーリー作りに徹底的にこだわっています。ピクサーはその創造性を維持するためにユニークな組織作りに力を入れていることでも有名です。

その最たる例が、クリエイティブ部門が共同でストーリーに磨きをかけていく「ブレイントラスト会議」。会議では同じ部屋でテーブルを囲み、序列に関係なく率直に発言することが求められます。たとえ最高製作責任者のジョン・ラセターやCEOのトム・キャットムルの意見であっても、取り入れるかどうかの最終権限は監督に委ねられています。

例えば『ウォーリー』では、当初ウォーリーが恋した相手であるイヴを助けるラストになっていました。しかし、ブレイントラスト会議で出た意見は、「ウォーリーがイヴを助けて終わりではつまらない。イヴがウォーリーを助けるラストにしては?」というものでした。実際、後者の意見が取り入れられ、より感動的なストーリーに仕上がっています。結末までが変わってしまったんですね。

こうした取り組みからピクサー流のストーリー作りのノウハウが全員に行き渡り、チーム一人一人が主体的に作品に関われる。そして誰が監督になってもヒットを打てる組織になっているというわけです。

一方、スタジオジブリは1人の天才に頼ったトップダウン型。脚本やキャラクター作りなど作品の核となる部分はすべて宮崎駿(もしくは高畑勲)が決めていました。外野から見ると、若手が普段から挑戦する環境を作っておかなかったことで後継者の育成が進まず、制作部門が解体という結果になってしまったんではないかと。

これは映画スタジオに関わらず、すべての組織に通ずる問題。上が言ったことは絶対という組織には結果的に自分の頭を使わないイエスマンしか残らず、チャレンジを求めるエース級人材は出ていってしまうものです。「うちの会社は若手が育たなくて……」という悩みがあるなら、ピクサーを真似て会議から変えてみるのがいいかも。

ちなみにこの夏は『ファインディング・ニモ』の続編も公開予定。映画公開にあわせて前作や過去のピクサー作品をチェックしてみてはいかがでしょう。


「ファインディング・ニモ」

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「ウォーリー」

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「ファインディング・ニモ」(C)2015 Disney/Pixar 「ウォーリー」(C)2015 Disney/Pixar


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